しばしの間

アランデル公
……ついに、ここまで来たか。 実に、実に長き闘争であった。

エーデルガルト
伯父様……なぜここに？ まだ決着はついていないわ。

アランデル公
なればこそ、だ。最後くらいは この目で見ておきたいと思ってな。

アランデル公
偽りの女神の、獣の支配から…… 人間が解放される、その瞬間を……。

エーデルガルト
……わかったわ。 軍の邪魔にならないところで好きに見て。

アランデル公
無論よ。 戦いに巻き込まれてはたまらぬからな。

アランデル公
この戦いが終われば、 帝国がすべてを支配する世が訪れる。

エーデルガルト
……すべて、ではないわ。 私は私のできることをするだけ。

エーデルガルト
それに治世が安定するまでの、 しばしの間は……

エーデルガルト
伯父様……いえ、貴方たちの知恵と力も、 必要不可欠だと考えている。

アランデル公
そうであろうな。 我々も、できることをせねばならぬ。

アランデル公
しばしの間、お前たちに力を貸そう。

エーデルガルト
ええ……お願いするわ。 しばしの間、ね。

エーデルガルト
……師(せんせい)、少しいいかしら。

エーデルガルト
ここまで来て、と思うかもしれないけれど、 私の口から伝えたいことがあるの。

エーデルガルト
いえ、貴方はきっと自分で感づいている でしょうけれど……それでもね。

エーデルガルト
……貴方が何者で、その力が何なのか。 今まで触れずにきた、真実を。

エーデルガルト
貴方は……レアと同じ、 女神と呼ばれる存在の眷属なのよ。

エーデルガルト
恐らく貴方の母親が女神に連なる人で、 その血はずっと貴方の中で眠っていたのね。

エーデルガルト
５年前、師(せんせい)がその力に目覚めた時、 私は貴方がレアに協力すると思ったわ。

エーデルガルト
セイロス教団を使ってフォドラを支配する レアたちを、抹殺することだった。

エーデルガルト
私は貴方を敵に回してでも、レアを討ち、 人々を解放するのだと誓ったのに……

エーデルガルト
……貴方は、私を助け、 レアと敵対する道を選んでくれた。

エーデルガルト
もちろん私は嬉しかったけれど、 同時に、迷いもした。

エーデルガルト
この道は、師(せんせい)が進むべき道では ないのかもしれない、と。

エーデルガルト
その迷いを抱えたまま、私は貴方に甘え、 貴方の力を借りて、ここまで来たのよ。

エーデルガルト
聞いてくれてありがとう、師(せんせい)。 ……話せて良かった。

エーデルガルト
レアたちがいなくなった世界で、 貴方がどうなっていくのか……

エーデルガルト
私にはわからない。 けれど、私にとって貴方は、特別な存在。

エーデルガルト
……そろそろ時間ね。 行きましょう、師(せんせい)。