白銀の乙女・戦後

ディミトリ
………………。 ……ああ、お前か。

ディミトリ
それより先生、先日のアリアンロッド遠征、 本当によくやってくれた。礼を言うよ。

ディミトリ
お前の指揮があったからこそ、 無事にアリアンロッドを奪還できた。

ディミトリ
アリアンロッドの奪還に伴って、 いろいろと国内の情勢も動いたようでな。

ディミトリ
結果だけ述べると、アリアンロッド周辺の 小領主たちが、王国への臣従を表明した。

ディミトリ
彼らの保有する騎士団も、 王国軍に加えられるかもしれない。

ディミトリ
もしそうなった時には、 兵の使いどころはお前に任せようと思う。

ディミトリ
それから……ああ、すまない。 つい、立て続けに報告ばかり……。

ディミトリ
まあ……確かに、近頃は部屋に籠もって 公務や雑務に追われることが増えたな。

ディミトリ
だがこれは、長らく放り出してきたツケが 回ってきただけだ。

ディミトリ
５年と数節分の空白を埋め合わせるのは、 なかなか骨が折れるが……。

ディミトリ
一つ一つ、こなしていこうと思う。 ……それも、俺の果たすべき贖罪だ。

ディミトリ
で、先生。ついついこちらの話ばかり してしまったが、何か用があったのだろう？

ディミトリ
いつかを思い出すな。あの時は、 俺がお前を食堂に引っ張っていったっけ。

ディミトリ
ちょうど仕事も一段落したところだったし、 折角誘ってもらったんだ。

ディミトリ
俺も、たまには 皆の輪に加わりたいところだが……

ディミトリ
……なあ、本当に、いいのだろうか。 俺のような者が、平然と皆の中に加わって。

ディミトリ
……そうか。 俺はここにいても……いい、のか。

ディミトリ
……ありがとう。 ……それじゃあ、一緒に行こう、先生。