地下に広がる世界

……なあ、ユーリス。おれたちがここで欠伸を噛み殺してる意味はあんのかね？

噛み殺せてねえぞ。ったく、そんなに暇なら俺が一勝負、付き合ってやっても良いが……

あー……やめとく。近頃は寒々としててな。お前に巻き上げられるのは懲り懲りだ。

コンスタンツェ, ハピ enter the scene

ハピ

何言ってんだか。暖かかったら喜んでバラ撒くじゃん、バルト。

おーっほっほっほ！　手持ち無沙汰なら頭を働かせていれば良いのですわ！

ま、働かせる頭のない者は退屈かもしれませんけれど！

ハピ

ま、働かせる頭はハピもないし、ユリーとコニーに任せて……

……お頭！

ごろつき enters the scene

どうした、随分早く戻ってきたな。何か地上で動きでもあったか？

ああ……お頭の指示どおり枢機卿の会合を探ってきたんだが……。

……それが、その。見つかっちまって。おかしな連中に追いかけられてるんだ。

おかしな連中……？　騎士団か？

詳しいことはわからねえ……。数は７、８人だったと思うが、武装してる。

その人数じゃ、地下を制圧しようって腹でもなさそうだな。

大方、お前を悪党だと思って捕らえに追ってきたんだろ。

よおし、返り討ちにしてやらあ！腕が鳴り過ぎて轟いてきたぜえ！

バルタザール leaves the scene

お待ちなさい、バルタザール！貴方はどうしていつもそう短慮で……

ハピ

そういうコニーだって、どーせ戦うじゃん？新しい魔法を試したいとか言ってたし。

ま、ここは地上の法が及ばねえ場所だ。多少遊んでやったって罪には問われねえさ。

……何より、相手は教団の息のかかった連中だ。騎士団じゃないにしろな。

ごろつき leaves the scene

ユーリス, ハピ leave the scene

あ、貴方たちっ……！　ちょっと！お待ちなさい！　私も、私も行きますわ！

コンスタンツェ leaves the scene

ベレト, エーデルガルト, クロード, ディミトリ, アッシュ, リンハルト, ヒルダ enter the scene

エーデルガルト

ここは……ただの通路ではなさそうね。人の痕跡も多いし、住居のようにも見えるわ。

ガルグ＝マクの地下……そういえば昔、兄さんから聞いたことがあったっけ。

ん？　ああ、ホルストさんも士官学校の卒業生だったか。

うん。兄さんが生徒だった頃に、ガルグ＝マクの地下にまつわる噂があってね。

街の地下には無数の通路や区画が広がっていて、後ろ暗い人たちが住んでるって。

その名も……“アビス”？

バルタザール enters the scene

そのとおり！ここはガルグ＝マクの地の底“アビス”だ！

！　誰だ……！

それは……制服か？俺たちのものに似ているが……。

ようこそ、士官学校の生徒さんよ！華々しい方々が、こんな場所に何の用だ？

いや、俺たちは大修道院をうろついていた怪しい人影を追ってきただけでね。

エーデルガルト

貴方たちに用はないわ。そこを通してもらえないかしら？

おーっほっほっほっほっほっほっ！それは無理な相談ですわよ！

コンスタンツェ enters the scene

そこの暴れん坊は騙せても、私の目は誤魔化せませんわ……！

貴方たちの真の目的、このコンスタンツェ＝フォン＝ヌーヴェルが当ててあげましょう！

アビス住民の排除を目論む教団の指示で、介入の口実を探しに来たのですわね！

排除……？
介入……？

エーデルガルト

ヌーヴェル……？

戦う理由がありさえすりゃ、中身は何だって関係ねえだろ。

やんのか？やらねえのか？

……見るに、なかなかの手練れのようだ。いちいち相手をするのは得策ではないな。

ああ、そいつは俺も同感だ。今日のところは引き揚げるか……

この期に及んで帰るだなんて、そう寂しいこと言ってくれるなよ。なあ？

ユーリス enters the scene

ハピ enters the scene

ここの連中はみんな娯楽に飢えててね。戦争ごっこがしたくて堪らねえのさ。

ほほう……鮮やかな挟撃の手並み、やっぱりただのごろつきじゃなさそうだ。

おい、クロード。感心している場合か。ここは俺たちで突破口を開かねば……

待て……クロード？リーガン公爵家の、新しい嫡子か？

いや、人違いだろ？　クロードなんてフォドラじゃ珍しくもない名前だ。

それこそ、適当に偽名で使う奴もいるくらいな。

だが、今年の士官学校の生徒にクロードって名の男は一人だけだろ？

おいおい、何でまたそんなことまで知ってるんだよ……

はっはあ！こいつはとんだ僥倖だぜ！

ようしお前ら、ぶん殴られてケツ並べるか、おとなしくふん縛られるか選びな！

悪いな、みんな。心当たりはないんだが…… どうやら俺のせいで遺憾にも戦闘に突入だ。

東方の隠者いわく、石を投げつけられたら、石の雨を降らせて返してやれ、だとさ。

ようやくやる気になったかよ。 “レスターの格闘王”の拳、味わってけ！