ベレト & ディミトリＢ / houses.fedatamine.com

ベレト, ディミトリ enter the scene

ディミトリ

先生、この間は助かった。是非今度、食事でもおごらせてくれ。

たいしたことでは……
楽しみにしている

ディミトリ

いや、お前の指導は素晴らしかったと思う。流石は教師だな。

ディミトリ

ああ、食べたいものを考えておいてほしい。 ……しかし、お前の指導は流石だったな。

ディミトリ

俺も長く剣を学んではきたが、お前の傭兵らしい剣は、俺にも新鮮だった。

ディミトリ

……なあ、先生。ずっとお前に、尋ねたいと思っていたんだ。

ディミトリ

先生は、初めて戦場に身を投じた時から平気だったのか？　……敵を殺すことが。

何かを思う余裕はなかった
平気ではなかった

ディミトリ

……そうか。

ディミトリは？

ディミトリ

……もちろん、平気ではなかった。何年経とうともそれは変わらない。

ディミトリ

俺が初めて将として戦場に立ったのは、西方で起きた反乱の鎮圧に赴いた時だ。

ディミトリ

そう厳しい戦いではなかったし…… 敵の訓練も十分ではなく、士気も低かった。

ディミトリ

軽く槍を振るえば敵兵が倒れ、剣を振るえば道が開けた。……そういう戦いだった。

活躍したのか
反乱？

ディミトリ

……まあ、そうも取れるかもしれない。

ディミトリ

ある地方貴族が、父上の亡くなった隙をついて、王権の奪取を図ったんだ。

ディミトリ

反乱軍の首魁を討ち、反乱は鎮圧された。 ……あれは、戦後処理の最中だったか。

ディミトリ

ある兵士の死体が握り込んでいた首飾りの中に、女の髪束が入っていた。

ディミトリ

娘か妻か恋人か、はたまた母親のものだったのかは、わからない……。

ディミトリ

だがその瞬間に、俺たちが敵と見なして躊躇なく斬り捨ててきた相手が……

ディミトリ

俺たちと同じように生きている人間なのだと、思い知らされた。

ディミトリ

もちろん、無闇な狼藉を働く者たちを放置しておくわけにもいかないんだが……

ディミトリ

俺たちは自分の正義を振りかざして、誰かの家族や仲間を奪っている。

ディミトリ

割り切ってはいるが、それでも時々、自分の行いの罪深さに足が竦む……。

それが普通の人間だ
そう感じることもある

ディミトリ

……そうかな。そうであってほしい、な。

ディミトリ

……安心した。先生も、そうなんだな。

ディミトリ

ええと、その……先生。正直なことを言わせてくれ。

ディミトリ

初めて会った時のお前は、敵を殺すことに何の感慨も抱いていないように見えた。

ディミトリ

……人を殺して眉一つ動かさない人間を、俺は、心の底から信用することはできない。

ディミトリ

だが、こうして言葉を交わすうち、お前はそういう人間ではないとわかった。

ディミトリ

今は、お前を心の底から信頼している。 ……これからも、よろしく頼む。