ベレト & イグナーツ Ａ

イグナーツ
これ……珍しいな……。 すごいぞ、こんな色なかなか……。

イグナーツ
……あ、先生。 見てください、この石！

イグナーツ
鮮やかな青でしょう？ この辺りじゃ、あまり見かけませんよね！

イグナーツ
これを砕けば、顔料にできるかも。 どんな色が出るか楽しみだなあ……。

イグナーツ
絵の色づけに使うんです。売られている物は 高価なので、なるべく自作してるんですよ。

イグナーツ
特に青は貴重なんです。こんな場所で 見つかるなんて、運が良かったなあ！

イグナーツ
……あ、すみません！ のん気に……。

イグナーツ
はい、でも息抜きにしては、ちょっと 夢中になりすぎてました……ははは。

イグナーツ
……先生は、ボクが絵にかまけていても、 いつも全然、責めませんよね。

イグナーツ
本当なら、次の戦いに備えて、 いろいろ準備しなきゃいけないのに……。

イグナーツ
え……。

イグナーツ
そんなこと……言わないでください。 ボクはもうとっくに諦めているんですから。

イグナーツ
家のために、ボクは騎士になる。 それでいいんです。

イグナーツ
趣味としては続けようと思います！ というより、やめられないと思います。

イグナーツ
美しいと思うものを見てしまうと、 描きたい気持ちを抑えられないんです。

イグナーツ
そして、描いたものを喜んでくれる人が 一人でもいたら、それでもう満足なんです。

イグナーツ
………………。

イグナーツ
……先生、一つお願いがあります。

イグナーツ
今描こうと思っている絵があるんですけど、 完成したら、先生が貰ってくれませんか？

イグナーツ
もしその絵を見て、先生が喜んでくれたら、 それでもう、本当に大満足ですから！

イグナーツ
良かった！　約束ですよ？ ボク、全力で描きますから！

イグナーツ
あ、いえ、息抜きの趣味ですけど、 全力の息抜きで描きますからね！