ベレト & ユーリスＳ / houses.fedatamine.com

ユーリス enters the scene

ベレト enters the scene

……わざわざ呼び出しに応じたってことは、今から俺が何を言うか、想像ついてるよな。

ついていない
さて……

本当かよ……あんたの場合、本気で鈍いのかどうなのかわからねえから腹が立つな。

しらばっくれるなよ……あんたって昔からそういうところ、あるよなあ……。

……いや、いいか。そんなことは。

蒼月の章
Else

今のあんたはセイロス聖教会の大司教。つまり雲の上より高いところの人。

紅花の章
Else

今のあんたは女帝の寵愛を受けた臣下。もっと偉そうにしてたって良い立場。

今のあんたはフォドラの王様。つまり世界で一番偉い奴。

そんな相手と比べたら、俺は、何も持ってないも同然だ。

野望と、部下と、ちょっとの金と、それからこの顔くらいかな。

……聞かせてくれ、先生。あんたにはそんな男を、己の懐に入れる覚悟はあるか？

もちろん
聞くだけ野暮だ

……ははっ、まあ、そうか。あんたはそういう奴だったよな。

ほら、じゃあこいつを受け取れ。口実としてはまあ、いつかの礼ってことで。

CG 23

いつの礼……？
これは……

覚えてねえか？まあ、もう５年も前の話だもんな。

あんたを、俺たちの縄張り争いに巻き込んじまった時の礼だよ。

礼は要らない
忘れていた……

受けた恩はきっちり返す。それが俺の信条だ。

だが、どうしても要らねえって言うなら、こっちにも考えがある。

はは、あんたらしいな……じゃあもう、礼って名目じゃなくてもいいや。

取引だ。この指輪を対価に、あんたが欲しい。

それはつまり……
取引……？

……馬鹿かあんたは。それを言わせるんじゃねえ。

言われたことは何度もあるが、いざ自分で言うとなると結構恥ずかしいんだよ。

いくら鈍いあんたでも、流石にわかるだろ、こいつの意味くらい。

なぜ今？
なぜ自分？

……俺はさ、手の届くところにいる奴を、一人でも救えればそれで十分だと思ってた。

けど今は、貧しさだとかくだらねえ理由で命を落とす奴のいなくなった未来を……

見届けたくなったんだ。そんな大層な夢が叶うとは思ってもみなかったくせにさ。

……あんたは不思議な人だよ。俺を、夢の先に連れて行ってくれる気がする。

だが、贅沢を言おうってわけじゃない。流石の俺様も、人間だ。死ぬ時は死ぬ。

そうなれば、誰かが組織の頭を継ぐはずだ。そのための準備も調えてある。

そいつらがしぶとく生き続けている限り、俺の夢も、終わることはないはずさ。

俺の名は消えて、組織と、夢だけが残る。それでいいはずだったんだ、最初は……。

けど……いつか俺が死んだ時、俺の名前を記してくれる人がいてほしい。

そしてそれは他でもない、あんたがいい。そう思っちまったんだよ。

……な、何だよ。何か妙なことでも言ったかよ。

気が早すぎる
今から死んだ後の話？

だからそれはもしもの時の話で…… ……はあ、まあ、いいや。

確かに、あんたが欲しいと言ったその口で死んだ後の話をするなんて、失礼だったな。

……で？受け取ってくれるんだろ？

その前に……

ああ？　まだ文句あんのかよ。

本当の名前は？

ああ……そっか。まだ教えてやってなかったな、俺の名前。

悪い、勿体つけてたわけじゃないんだが、立場上むやみに吹聴できなかったっつーか。

CG 167

覚えててくれ、ベレト。俺の、本当の名前は――