ドロテア & フェリクス Ａ

フェリクス
おい、こっちへ来い。

ドロテア
どうしたの？ あっちへ行け、と間違えました？

フェリクス
毎度毎度俺に付き纏う暇があるなら、 訓練の相手にでもなってみろ。

ドロテア
ちょっと。 それ、本気で言ってます？

フェリクス
冗談の類いは好まん。 剣を抜け。

ドロテア
嫌です。 訓練なら一人で……

フェリクス
打ちかかって来ないなら俺から行くが。 それとも、俺など素手で十分だとでも？

ドロテア
もう、わかった、わかりました！ どうなっても知らないから、ね！

フェリクス
フン……男漁りにかまけているかと思えば、 意外にも筋は悪くない。

ドロテア
それ、褒めてるつもり？ ……褒めてるのよね。

ドロテア
まあ、歌姫をやってた頃から、 護身のために訓練は欠かしませんでしたし。

ドロテア
このご時世、剣の一本や二本、 使えないと生きていけないでしょ？

フェリクス
……お前への評価を改めねばならんな。

フェリクス
身分ある男にしか興味のない 愚かな女だと思っていたが……

フェリクス
現実から目を背けていないのには、 好感が持てる。

ドロテア
はいはい、それはどうも。

ドロテア
あーあ、疲れちゃった。 お茶でも飲んで、ゆっくり体を休めたいわ。

ドロテア
当然、フェリクスくんも 付き合ってくれますよね？

フェリクス
なぜ、俺が……

ドロテア
無理やり訓練に付き合わせた貴方が、 断るんです？

フェリクス
……チッ。 今回ばかりは、お前に一理ある。

ドロテア
それじゃ、お茶にしましょ。 何だったら私の部屋でもいいわよ？

フェリクス
調子に乗るな。

ドロテア
つれないわねえ……。