ドロテア & イングリット Ｃ

ドロテア
あら、グリットちゃん。 ちょうどよかったわ。

ドロテア
今度ね、大聖堂で小さな歌劇みたいなものを 披露するの。

イングリット
歌劇、ですか？

ドロテア
そうなのよ。 仲間で有志を募ってね。

イングリット
へえ……。 どんな内容なのですか？

ドロテア
ふふふっ。歌劇の王道、恋愛悲劇よ。 ある国のお姫様が一人の男性と恋をするの。

ドロテア
でも、彼女は国の命運を背負うお姫様。 望んだ相手と結婚できるはずもなく……。

ドロテア
国のため、望まぬ結婚を選んだお姫様と、 彼女を取り巻く男たちの葛藤が見所よ。

イングリット
はあ……なかなか重い主題ですね。 それで、そのお姫様役は誰が演じるのです？

ドロテア
僭越ながら、私がやらせてもらうわ。 一応、歌劇団では歌姫だったしね。

ドロテア
貴女も観に来てちょうだい？ しっかりおめかしして、よ。

ドロテア
ふふっ、みんなにお願いしてるの。 その夜はおしゃれな格好で集合って。

イングリット
ええっと……行きたいのはやまやまですが、 その……何というか……。

ドロテア
あら、都合でも悪いの？ それなら無理にとは言わないけど……

イングリット
い、いえ、都合が悪いわけでは。 ただ、その……問題は、おしゃれのほうで。

ドロテア
まあ！ それなら私に任せて。

イングリット
えっ？

ドロテア
ちゃんとした場では、ちゃんとした格好が できないと、大人として認められないわ。

ドロテア
私がグリットちゃんを、夜の観劇に相応しい 素敵な女の子にしてあげる。

ドロテア
いろいろ用意し終わったら、貴女の部屋に 行くから、ちゃーんと待っててね。

イングリット
は、はあ……。 どうかお手柔らかに……。