ハピ & ディミトリ Ｃ

ハピ
うーん……。

ディミトリ
ハピ……その、そうまじまじと見られると、 流石に、少しばかり居心地が悪いんだが。

ハピ
もーちょっとだけごめんね。 思い出せそうなんだけどなー……

ディミトリ
いや、さっぱり話が掴めないんだが……。 とにかく事情を話してくれないか……？

ハピ
昔、どこかで会った気がして。 どこだろな……。

ハピ
ハピが王子に会う機会なんて、 なかったと思うんだけどさ。

ディミトリ
ああ……俺も、これまで お前に会った記憶はないが……

ディミトリ
昔は、父に随って王国内を巡行することも あったから、その時ならばあるいは……？

ハピ
昔っていつ？　ハピ、昔は山ん中にいて、 里の仲間以外とは誰とも会ってないし……

ハピ
里を出てからは、ほとんどずっと同じ 建物の中に閉じ込められてたよ？

ハピ
ファーガス王？がそこに来た 記憶はないけど。

ディミトリ
……閉じ込められていた？ それはいったいどういうことだ？

ハピ
里を出たハピを、助けるとか言いながら さらったおばさんがいてさ。

ハピ
そいつの実験台になってたんだ、ハピ。 いろんな儀式とか魔法とか試されて。

ハピ
ご飯と寝床にだけは不満はなかったけど、 なかなかサイテーな経験だったね。

ディミトリ
………………。

ディミトリ
……他人の俺が言うのもおかしな話だが、 お前は、自分の境遇に憤ってもいいと思う。

ディミトリ
お前を苦しめた者に、どのような 理由があったのかはわからないが……

ディミトリ
少なくとも不幸を被った張本人である お前には、憤る権利くらいあるはずだ。

ハピ
あ、今の言葉！ うーん……いや、違う……？

ディミトリ
……ええと……何だ？

ハピ
昔、まったく同じ言葉を聞いた気が……。 やっぱりキミと会ってる？

ハピ
でも違う気がしてきた。 そもそも男じゃなかったよーな。

ハピ
まーまた今度でいいや。 じゃね。

ディミトリ
あ、ああ……まあ、俺で役に立てるなら、 お前の気の済むまで付き合うが……。