バルタザール & ヒルダ Ｂ

ヒルダ
きゃっ！

バルタザール
ヒルダ！ 下がってろ、ここはおれがやる！

ヒルダ
ふええ……バル兄、助かったよー。 大丈夫？　怪我しなかった？

バルタザール
あんなもん、どうってこと……いてて。

ヒルダ
そんなに無理して守ってくれなくても あたしなら大丈夫だよー？

ヒルダ
ほら、あたしって無理しない主義だから、 危なくなったら、ちゃんと逃げるしー。

バルタザール
まあ、お前がそういう奴だってのは わかってるが、それでも心配でよ。

バルタザール
おれはホルストからお前のことを 頼まれちまってるからな。

ヒルダ
え？　そうなの？ 最近、兄さんに会ったの？

バルタザール
いや、ずっと昔の話だけどよ。 俺に何かあったら妹を頼む、みてえなさ。

ヒルダ
何かあったらって、兄さんまだ元気だけど。

バルタザール
そうだが、もしお前が大怪我でもして その時おれも一緒だったと知れた日にゃ……

ヒルダ
ああ……命が危ないわねー。

バルタザール
だろ？　万夫不当の格闘王とはいえ、 あいつだけは相手にしたくねえ……。

ヒルダ
あはは……だけど、あんまり無茶して バル兄が帰らぬ人にでもなったら……

ヒルダ
それはそれで、兄さん悲しむと思うなー。

バルタザール
そうかねえ。だとしても、あいつは おれが下手を踏むとは思っちゃいねえよ。

バルタザール
おれがあいつの強さを信じてるように、 あいつもおれの強さを信じてるはずだ。

バルタザール
だからこそ、あいつの想いは裏切れねえ。 そういうわけだから……

バルタザール
おれが多少、無理してるように見えても、 お前は気にすんなよ。

ヒルダ
うーん。 気にするなって言われてもなー。

バルタザール
好きでやってることだ。 万一おれが死んだら、そん時は泣いてくれ。

ヒルダ
そんな悲しいこと言わないでよ。 とりあえず生きといてねー？