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アロイス
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おお、ディミトリ殿、ちょうどよかった! 以前の礼をしなければと思っていたのだ。
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ディミトリ
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……以前の礼? 何の話でしょう。
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アロイス
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おや、忘れたのか? いつぞや、 我々が魔物の襲撃を受けた時の話だ。
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ディミトリ
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……ああ、アロイス殿の冗談が、 たいへん冴え渡っていた日のことですね。
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アロイス
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む。その切り返し、ディミトリ殿のほうが よほど冗談が上手いのではないか?
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アロイス
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……流石に、私にもわかる。 あの日の冗談は酷いものだった、と。
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アロイス
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消沈した兵士たちを勇気づけねばと、 その場で捻り出したものだったゆえな。
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ディミトリ
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いえ、我々は十分勇気づけられました。 おかげで、修道院にも帰還できましたし。
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ディミトリ
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……私は口が達者なほうではありません。 とても、あのような行動は取れなかった。
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アロイス
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いやいや、すべてはあなたの機転ゆえだ。 私のくだらん冗談にああも笑って……
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ディミトリ
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確かにあの冗談自体は…… いやまあ、その、ですね……。
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ディミトリ
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……ですが、それで良いのだと思います。 そんなあなただからこそ、皆に慕われる。
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アロイス
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そうなのだろうか? うむ、特別意識したことはなかったが……
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アロイス
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あなたがそう言うのなら、 それは、そうなのかもしれんな! ははは!
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ディミトリ
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私も、兵を率いる将の一人として アロイス殿を見習わねばなりません。
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ディミトリ
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兵や仲間にも、お前は堅物すぎると 呆れられてばかりですから。
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ディミトリ
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アロイス殿、良ければ私に冗談を 指南してはいただけませんか?
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アロイス
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よかろう! と言いたいところだが…… ……私よりも適任な者がいるのではないか?
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ディミトリ
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いえ……アロイス殿、 私は、あなたが良いのです。
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アロイス
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……そうか、そう言われては仕方がないな!
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アロイス
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ならばこのアロイス、 全力で冗談の極意を伝授しようではないか!
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ディミトリ
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はい。 よろしくお願いいたします、アロイス殿。
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アロイス
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うむうむ、極意を得んとする心意気、 すっごく良い、ぞ!