エーデルガルト & カスパル Ｃ

カスパル
やあっ！　とおっ！ どりゃああっ！！

エーデルガルト
また訓練？ 精が出るわね、カスパル。

カスパル
はっ！　たっ！　だりゃあ！　うらっ！ うおおおおおっ！！

エーデルガルト
………………。

カスパル
ぜえ……ぜえ……ぜえ…… ……って、エーデルガルト！？

カスパル
いるなら声かけてくれよ！ 驚かせるなあもう！

エーデルガルト
かけたわ……。まあいいけれど。 それより、なぜそれほど必死に訓練するの？

エーデルガルト
訓練を怠らないのは良いことでも、 やり過ぎは体に良くないわ。

エーデルガルト
貴方の腕前は皆の中でも一、二を 争うほどなのだから……。

カスパル
ほんとか！？　エーデルガルトに そう言われると嬉しいな。

カスパル
だけど、訓練はやめられねえぜ。 オレは武でしか身を立てられねえからな。

エーデルガルト
そう……貴方は確か、 ベルグリーズ家の次男だったわね。

カスパル
ああ。領地は兄貴が継ぐ。親戚も多くて、 独立しようにも何が貰えるかわからん。

カスパル
だったら己の腕一本で、 何かを成さなきゃならねえだろ？

エーデルガルト
そうね。 貴族とは難儀なものだわ。

エーデルガルト
すべてを継ぐ者に苦しみがあれば、 何も継げぬ者にもまた苦しみが……

カスパル
はあ？　何言ってんだよ。 オレは別に苦しんじゃいねえって。

カスパル
オレの未来はオレが切り拓く。 何も継がねえことのどこに苦しみがある？

カスパル
何でも自分を基準に考えるのが、 エーデルガルトのよくねえとこだよなあ。

カスパル
いや、そういうつもりは全然……。 あ、でも喧嘩なら受けて立つぜ！

エーデルガルト
はあ……。 カスパル、私は喧嘩したいわけではないの。

エーデルガルト
いいわ、訓練を頑張りなさい。 私は行くわね。

カスパル
何なんだ？ 相変わらずよくわかんねえな……。