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ユーリス
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……あっちの剣士だな。
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バルタザール
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おおっと、ならおれはあっちの傭兵だ。 あの目つき、まさしく達人って風格……
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バルタザール
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……ってああああ! 言ったそばから負けやがったな、あいつ!
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ユーリス
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だーっはっは! まーた勝っちまったな! いい加減懲りろって、バルタザール。
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バルタザール
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この野郎……さっきから勝ち続けやがって。 仕込みじゃねえだろうな?
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ユーリス
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いやいや、金を賭けてるわけでもねえんだ、 そんな阿呆臭えことするかよ。
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ユーリス
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だいたい言い出したのはお前じゃねえか。 負けた奴は、笑える昔話を一つ披露する……
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ユーリス
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要は互いに過去をさらけ出し合って、 弱みでも握ってやろうって話だったろ?
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バルタザール
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くっ……。にしたって、 おればかり喋ってるじゃねえかよ……。
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バルタザール
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あー……それじゃあ何年か前に、 忍び込んだ遺跡で巨鳥と喧嘩した話を……
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ユーリス
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さっきも聞いたぞ。遺跡をぶっ壊したのが 領主にバレて、賞金を懸けられたんだよな。
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バルタザール
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クソッ、もう話の種がねえっ。 こうなったら裸踊りでもしてやらあ!
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ユーリス
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やめろやめろ、見たくもねえよそんなもん。 しかし、まさかここまで賭けに弱いとは……
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ユーリス
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よし、じゃあ俺から聞こう。 ……お前の持っている紋章についてだ。
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バルタザール
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おっと……いきなりぐさりと来るねえ。 そいつもお前流の交渉術ってやつかい?
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ユーリス
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純粋に、生い立ちに興味が湧いたんだよ。 その紋章をどこから手に入れたのか……。
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ユーリス
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アダルブレヒト家の歴代当主に、同じ紋章を 持ってる奴はいなかったはずだよな。
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バルタザール
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なら、答えはわかってんだろ。 お前も珍しい紋章を持ってることだしな。
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バルタザール
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それとも女神様から授かったとでも 言うつもりか?
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ユーリス
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待て待て、賭けに勝ったのは俺だ。 お前から質問する権利はねえはずだぜ?
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バルタザール
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くーっ! おっ、次の勝負が始まるぞ! 今度こそ負けねえ……どっちだ、どっちだ?
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ユーリス
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なあ……もうやめといたらどうだ? お前、 どうしようもなく賭け事に向いてねえぞ。
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バルタザール
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たとえ向いてなかろうと、負けっ放しじゃあ いられねえのが、おれって男よ。
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ユーリス
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………………。
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ユーリス
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……おい、バルタザール。 そこの剣士二人を見てみろ。
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バルタザール
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おっ、さっきまで二人仲良く飯を食ってた 奴らじゃねえか。対戦相手同士だったのか。
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ユーリス
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ああ、そうらしいな。 ……お前の目には、あいつらがどう映る?
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バルタザール
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ん? 片方は……筋骨隆々じゃあねえか。 足運びもまさしく手練れってやつだ。
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バルタザール
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相手も悪かないが、ギラついてるというか、 何というか未熟な感じがするが……。
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ユーリス
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なるほどな。 ……で、お前はどっちに賭ける?
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バルタザール
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そりゃ、考える余地もなく手練れだろ。 誰が見たってあっちが……
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バルタザール
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……ん? 様子がおかしいな。 うおっ、あっさり負けたぞ……!
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ユーリス
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……例えば今、俺とお前が殴り合ったとして 万に一つも俺に勝ち目はねえ。
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ユーリス
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だが、どうしても勝たなきゃならねえなら、 それ相応の策を講じて勝ちを狙う。
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ユーリス
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……例えば、お前の目を盗んで 飯に痺れ薬でも盛るとか、な?
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バルタザール
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なるほどな……肝に銘じておくぜ。 さ、今の教えを踏まえてもう一勝負だ!
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ユーリス
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ははっ、お前、なかなかめげねえな。 それなら、心が折れるまで負かしてやるよ!