レオニー & セテスＣ / houses.fedatamine.com

レオニー enters the scene

セテス enters the scene

……あれ？　セテスさん？

おや、レオニーか。君も釣りをしに来たのか？

はい、ここはよく釣れますからね。セテスさん、釣りは得意なんですか？

長いこと嗜んではいるが、上手い下手で言えば初心者にも劣るだろうな。

確かに……全然、釣れてませんねえ。

ああ。なにしろ餌が付いていないからな。

えー！？　釣る気なしですか？じゃあ、何のために……？

頭を冷やすためだよ。釣り糸を垂らし、水面を眺めていると落ち着くのでね。

日々、多忙を極めていると、こういう静かな時の過ごし方が貴重になってくる。

へえー。でも折角、釣り糸を垂らすなら餌を付ければいいのに……。

それはそうなのだが……恥ずかしながら、何が餌になるのかも知らないんだよ。

釣りは妻に付き合って覚えたのだが、餌を付けるのは妻に任せていてね。

私は竿を渡され、糸を垂らすだけ。餌のことなど気にしたこともなかった。

あの……セテスさんの奥さんはもう……？

ああ、随分前に亡くしたよ。それで、独りで釣りをするようになったんだ。

まあ、私は餌がなくとも事足りるからな。 ……君は、何のために釣りをするんだ？

え？　何のためって、魚を獲るために決まってるじゃないですか。

魚を獲って食べる。そのための釣りです。釣れれば、飯が一品増えますからね。

魚を獲って食べる。動物を狩って食べる。わたしはそうやって暮らしてきたんです。

今は飯に困ってませんけど、あの頃は獲れなきゃ飯抜きですから、切実でしたよ。

飯抜き、か。それは確かに切実だな。

だが、そうした緊張感をもって釣りに臨んだほうが、釣った喜びも大きかろう。

そりゃそうでしょうね。切実ですから。釣り甲斐が違います。

……セテスさん、餌はお分けしますから、たまには本気で釣ってみません？

釣れたら、美味い魚料理をご馳走しますよ。それなら少しは釣り甲斐があるでしょ。

君、料理は得意なのか？

凝った料理はできませんけど、美味いと言わせる自信はありますなあ。

ほう、それはいい。俄然やる気が出るな。

じゃあ、始めましょう！